更新日:2025年8月19日(バイクの日)
1980年。バイクブームの真っただ中に、ヤマハから一台の異端児が登場した。
その名は—— RZ250。
当時まだ主流だった空冷・2本サス・重たいフレームを一気に過去のものとし、
水冷エンジン+モノクロスサスペンションという最新技術を惜しみなく投入。
250ccながら圧倒的なパフォーマンスを誇り、瞬く間に若者たちの憧れのマシンとなった。
「ナナハンキラー」という衝撃
RZ250が“ナナハンキラー”と呼ばれた理由は明白だ。
乾燥重量わずか139kg、最高出力36PS。
数字だけ見れば750ccの馬力には遠く及ばないが、パワーウェイトレシオでは同等クラス。
軽さと2ストローク特有の爆発的加速が合わさり、街中のゼロヨン勝負や峠道のタイトコーナーではナナハンを置き去りにすることができた。
しかも当時、750ccに乗るには「限定解除」という狭き門を突破せねばならなかった。
多くの若者にとって、大型バイクは“手が届かない高嶺の花”。
だからこそ、手に入れられる250でナナハンを狩れるRZは、圧倒的なカリスマ性を放ったのだ。
当時の新車価格と爆発的ヒット
発売当時の新車価格は 36万9,000円。
今の感覚でいえば、原付二種スクーターのような価格帯で最先端スポーツが買えたわけだ。
当時の若者にとって「バイトを頑張れば手が届く夢のマシン」だったのも、ヒットの理由。
結果、RZ250は瞬く間に大ヒットし、翌年には兄弟車RZ350も登場。
「RZ旋風」と呼ばれるブームを巻き起こし、バイクシーンを根底から塗り替えた。
中古市場で300万円弱!?
時は流れ、2ストロークが姿を消した現代。
しかしRZ250の人気は衰えるどころか加速している。
コンディションの良い初期型は、今や中古市場で250万〜300万円近い値が付く個体も存在。
当時の新車価格から実に7〜8倍。
希少価値だけでなく、“ナナハンキラー”の伝説を背負った名機として、コレクターや往年のライダーたちの心を掴み続けている。
時代を変えたDNA
RZの登場は単なる1台のバイクにとどまらない。
その思想は後のTZR、FZシリーズへと受け継がれ、レーサーレプリカブームの火種になった。
「軽くて速い、誰でも手が届くスポーツ」という哲学は、今なおヤマハ車の根幹に息づいている。
結び
YAMAHA RZ250は、ただの250ccではなかった。
それは時代を切り開いた革命児であり、今も語り継がれる伝説のナナハンキラー。
1980年代の若者たちに夢と自信を与え、そして2025年の今でも熱狂を生み続ける至極の名機。それが YAMAHA RZ250である。